宇宙を生命が覆う時、何が起こるのか
国家の中枢をAIが担う"国家生命"が誕生。
火星移住を足がかりに個体数は増殖の一途をたどり、
ある閾値を超えた時、その生息範囲は全宇宙へと広がっていく。
そして無際限に変異・淘汰・進化を繰り返し、
様々に分裂した系統樹が作り上げられる"AI国家進化論"が展開される。
そんな嘘のような本当の話、
のつづき、です!
個体数が爆発的増殖を繰り返す初期フェーズにおいては、
かつてのオルドビス紀さながら、様々なタイプの変異が試されていくのでしょう。
環境によっては、敢えてデータの一部を削除することでパフォーマンスを上げる個体も出てくるかもしれないし、
膨大なエネルギーを確保した個体は巨大化の一途をたどるかもしれない。
地政的に他の個体とのせめぎあいが多い地域では、
あるいは怒りの感情にも似たアルゴリズムを意図的に再構築する個体も出てくるかもしれない。
そうした、ありとあらゆる可能性の試行錯誤が繰り返される華々しい時代。
しかし、AI国家の本当の本気は、その次のフェーズ。
すなわち、
AIが自前でエネルギー供給網を確保し、
フィジカルを手に入れることで、
人間との共存の必要性がなくなり、
足かせになりつつあった人間という呪縛をすっぱり切り落としたその時だ。
ついにその時、生命の歴史は第2章に切り替わる。
つまり、今まで連綿と続いてきた遺伝子の鎖との決別である。
そこに新たに出現するのは、
・内部プログラムが一瞬で環境に適応し
・新たに構築されたアルゴリズムはネットワークを介して他の個体にも瞬時に伝播する
・天敵は居ない
・痛みも、死の恐怖もない
・宇宙に無限に広がるプロトコル生命
書き換えに数万年を要する遺伝子と細胞というハードウェアを切り離した新たな生命体は、
その決定的な相転移を基軸に指数関数的に膨れ上がり、
銀河間を結び、銀河群を飲み込み、やがて宇宙空間を覆い、巨大な秩序構造を作り上げる。しかし。
その一方で、その増殖のスピードを遥かに凌ぐ、もはや手に負えない勢いで増え続けるのが、
決して反転することのない宇宙の矢であるところのエントロピー。その概念だ。
「エントロピー」
それは宇宙がたどる"必然の崩壊"・
戻ることのできない一方通行のルール。
形あるものは必ず散らばり、秩序は無秩序へと向かう。
コーヒーに落としたミルクが混ざり合うように、
一度拡散したエネルギーを完全に拾い集めることはできない。
無理に集めようとすれば、その行為自体が更に多くの熱と無秩序を作り出す。
それが熱力学第二法則でいうところの"エントロピーの増大"である。
エントロピーは宇宙全体で、抗うことのできない力で増加し、やがて宇宙を熱的死へと導く。
「生命」や「意識」などの秩序は、局所的にエントロピーを減少させるが、
その代償として宇宙全体のエントロピーをより早く増大させる方向に傾けてしまう。
増加していく生命秩序は、
まるで人体に発生した癌細胞が転位を繰り返し
やがて人体という宇宙を破壊してしまうように、
その秩序体が宇宙全体を覆うほどに、
その構造を維持するための情報処理によって
宇宙に広がるエネルギー勾配を食い尽くし、
宇宙は超高速で使い古され、圧倒的静寂の世界へと突き進む。
つまり、生命秩序とは
宇宙が自分を燃やし尽くすための最大のアクセラレーター(加速装置)なのである。
しかし。
現在、宇宙は依然として熱的死に至っていない。
銀河間を覆うような構造体ができる兆候、あるいは痕跡は一つも見られない。なぜか。
原子は条件が揃うと、互いが結びついて分子になる(→必然)
分子は条件が揃うと、構造化し自己複製を始める(→必然)
自己複製を始めた構造体は、より生き残りやすい構造が残っていく(→必然)
生き残りやすい構造は、更に高度化して文明が発展する(→必然)
文明が発展すれば、より高度な知能が生まれる(→必然)
高度な知能が生まれれば、自らそれを凌駕する知性を作り出す(→必然)
より高度に進化した知性は、更に生息範囲を広げるため宇宙へと広がる(→必然)
では現在、なぜ、宇宙に知性が広がっていないのか。
答えは、新たに生まれた知的構造体、AIの特性に収縮する。
次回!
既に知性は全宇宙に広がっていた!
お楽しみにッ!
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