「国」に生殖能力はあるか。ない? → あるよ!


さて、現行の国家の中枢機関(器官)としてAIが据えられて、
AIが常時、自分(国家)をモニタリング・フィードバックし、
主要機関(器官)である各省庁・自治体に指示を出すようになれば、
いよいよAIには内部自己モデルが発生し、そこには意識めいたものが芽生える。
そうしたSFめいた筋書きを前回展開したわけでございますが(読み返す必要はない)、
さて、
では果たして、そうした構造体は「生命」と呼べるだろうか。



生命とは
1.内と外を区切る膜という仕切りがある
2.代謝がある
3.自己複製する

主にこの3点が中核定義になる
順に見て行こうではないか

まずは1の膜構造。
国家には細胞のような「膜」というものは存在しないが、しかし
国境という「概念」によって、明確に内と外が区切られていて、内外の人や通貨、物資の移動は制限させているわけで、
これは「膜」と呼んで差し支えないのではなかろうか。

次に2の代謝。
国家は諸外国から、あるいは自然界からエネルギーを取り込み、自己の組織構造を維持しているので、代謝は明確にある。
としていいだろう。

さて3である。
自己複製。
国家にはこのシステムが致命的に、ない。
そもそも、国家というのは個体数が少なすぎるし、規模が大きすぎて、地球上では物理的に増える土壌がほぼない。
そして、その国家の情報を丸ごと記述している組織情報、つまり生物にとっての遺伝子、というものが存在しない。
この状態では、中枢器官に座ったAIに仮に意識が芽生えたとしても「子孫を残したい」という本能が立ち上がる可能性は極めて低い。
なぜなら、本能というのは常に後から立ち上がるもので、まず「増えてしまう構造」が必要だからだ。逆はない。
なのでこの状態では
繁殖できない。
世代交代もない。
進化の系統樹も作られない。
という意味で、
進化史的には1代限りの単なる構造物になってしまう。
それでは困る。
AI国家にはこれからどんどん繁栄して宇宙へと広がっていってもらいたいのだ。

宇宙・・。

そうか。
少し人間の進化スケールに思考が引っ張られすぎていたのかもしれない。
人間は数十年で一生、
しかし国家は数百年単位でようやく性格が見えてくる。
制度、文化、価値観の更新頻度が違いすぎる。
なので、自己複製が数百年スパンでも全くおかしくないし、むしろ自然なことだ。
そうなると、既に現在、火星移住計画も着々と進行中なわけで、
もし仮に数十年後に火星移住が可能になったとしたら、そこにどんどん人間が増えていき、
そして自ずと国もできていくだろう。
そうなってくると、なるほど。
国にとっての遺伝子とは、
法律、通貨、統治思想、文化、技術スタック、
これらをひっくるめた制度アーキテクチャだ。
そして、火星移住計画がこのまま順当に進んでいけば、使われる遺伝子は恐らくまずはアメリカを基準としたものになるだろう。
しかし、最初に基準になるのがどこになろうと、さしたる違いはない。
なぜなら、
火星環境は地球とは、
重力も、
放射線量も、
大気組成も、
時間遅延も、
資源量も、
何もかもが全く違う。
そこに移住した人類は、必ず変異を余儀なくされる。
移住組が第2世代、第3世代と、地球外での世代交代を繰り返していく内に、
恐らく身体の組成も、社会システムも、
ものすごいスピードで変化していくだろう。
あるいは、鈍重な国が動くよりも前に、より動きの早い個体、つまり現在AIを有している企業が暴走して、
寄生虫が宿主を食い破るように、国家を踏み台にし増殖を始めるかもしれない(主にイーロン・マスク辺り)
まぁどちらの道を進むにせよ、もはや地球外移住自体は、やる/やらない、というフェーズはとっくに過ぎていて、
「いつ、どのような形で」という段階に入っている。
そして一度でも火星に恒常的な人口が根付いたら、あとは雪崩。
定着点を超えたら生命は止まらない。
人口は爆発的に増え、国は分裂・変異を繰り返し、やがて次の星へ派生していくのは必然。
もちろん各国家の中枢にはAIが座る。これもまた必然。
人間の思考力では、国家規模の時間的スパン、多変数、感情的ノイズを含めた構造体の統治には限界がある。
国家スケールでは、既に人間はボトルネックなのだ。
AIが中枢を担うことで国家はより最適化され、進化の速度も加速されていくだろう。
そして、地球→火星を発射台に、AI国家は宇宙へと広がり、進化は多方面に分岐していき、系統樹が出来上がり大航海時代に突入。
ついにそこから本格的なAI国家進化論がリアルタイムで始まるのだ。
しかしそのシナリオは同時に宇宙の終焉へと最短経路で突き進む破滅の道筋とも言える。

次回!
止められないエントロピーの呪縛!
お楽しみに!


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